他人と良好な関係を築いたり、または良い関係を長く続けていくために最も必要なことって何だと思います?
今回は、人と関係を築いていく上で重要な根っこの部分の話をしようと思います。
人間関係というと、一般的には「自分を取り巻く周囲の人たちとの関係」を思い浮かべますよね。
「どうすれば、あの人とうまくやっていけるのだろうか?」
「どうすれば、みんなから信頼してもらえるだろうか?」
多くの人が、そうやって他人との関係に一生懸命頭を悩ませている。
ですが、もし周囲の人間とうまくやっていきたいのであれば、周囲との関係に頭を悩ませる前にやるべきことが実はあるのです。
むしろこれができていないからこそ周囲との人間関係もうまくいかなくなる、と言えます。
それで、「やるべきこと」とは一体何か?
それは「自分との信頼関係を築くこと」です。
対人関係というと「他人との関係」と共に「自分との関係」も含まれます。
そして重要なのは、実は「他人との関係」よりも後者の「自分との関係」です。
なぜなら他人との関係を築く上で、その基盤や土台となってくるのが「自分との信頼関係」だからです。
例えばですが、他人の言動で右往左往する人っていますよね。
なぜ他人の言動に揺さぶられるのか?
それは自分の中に確固とした軸が無いからです。
自分の中に信じるべき軸が無い。つまり他人の判断基準に依存しているため、相手が変わればその都度その相手の基準に合わせなければいけなくなるので、他人の言動にいちいち揺さぶられることになるわけです。
こういう人を一言で表すと「自信が無い人」です。
自分に自信が持てないからこそ、他人の判断基準に依存してしまうことになる。
では、自信とは一体何か?
自信とは自らを信じると書きます。
他人と比べて「自分は優れている」と優越感に浸ることではないんですね。
自信とは他人と比べることではなく、どれだけ自分で自分のことを信じられるかどうかということ。つまり自分自身の内面の問題ということ。
ところで話は変わりますが、あなたは自分のことを見下したりしてはいませんか?
「自分はなんてダメなんだろう」
「こんなこともできない自分は、なんて情けないんだろう」
そうやって自分で自分を見下してしまうことはありませんか?
例えばですが、あなたが心から信頼する相手から「お前は本当にダメなヤツだな」と言われたら、どうです?心が折れますよね?
自分で自分を見下すというのは、これと全く同じことをやっているようなものなのです。
自分というのは生まれた時からあなたのことをずっと見続けてきた人であり、あなたのことを一番よく理解してくれている相手であり、そしてあなたにとっての一番の味方であるはず。そんな相手から否定されていれば、どんな人だって心が折れてしまうでしょう。
自信のある人というのは、自分を見下さないんですね。
「たとえうまくいかないことが続いても、自分なら最終的にはきっと乗り越えられる」
そうやって自分のことを信じてあげているんですね。
自分を信頼するとは、何があろうと絶対に自分を見捨てない、どんな時も自分の可能性を信じ切ってあげられる、そしてその覚悟を決めること。
自分を信頼することによって自分の中に確固とした軸が作られます。
自分の軸に従って考え行動することができるようになるため、他人の言動にも揺さぶられなくなります。
例え周りと意見や考えが違おうとも自分自身を否定しなくなるし、仮に自分の意見を捻じ曲げて周りに合わせざるを得ないようなことがあっても、自分の意見を尊重し自分で自分を認めてあげることができるようになる。
そして自分を信頼できるようになれば、実は他人のことも信頼できるようにもなるのです。
これは逆を考えてもらえれば分かりやすいです。
つまり自分に対する信頼が無いと、自分のことを疑ってしまうため自分の中でネガティブな感情や不安が強くなり、その結果他人の行動にも疑いを向けやすくなっていくのです。
例えば友人が約束の時間に集合場所へ来なかっただけで「騙されたのでは?」「馬鹿にされているのか?」と、友人に悪意があるかどうかも分からないのに疑ってしまったり。
恋人が異性と仲良くしているのを目にしただけで「浮気しているのでは?」と疑ってしまったり。
職場で同僚たちが陰でコソコソ話をしているだけで「自分の陰口をたたいているのでは?」と考えてしまったり。
なぜこうなってしまうかというと、例えば自分が「ダメな人間」だと思っていれば
・自分はダメな人間(だと自分で思っている)
↓
・相手にもきっと「こいつはダメ人間だ」と思われてるに違いない
↓
・相手から「ダメ人間」だと思われているんだから、そういう扱いを受けるに決まってる
↓
・その結果、相手の行為に対し「きっと悪意がある」と否定的な目で見てしまう
こうやって自分の中にある疑いの目を、周囲の人間にも同じように向けてしまうようになる。
その結果、自分を取り巻く人間関係も上手くいかなくなってしまうのです。
なので人間関係を良いものにしていきたいとあなたが思っているなら、他人との関係の前にまずは自分との関係はどうだろうか?ということを振り返ってみてください。
自分と信頼関係を築くことができれば、感情面も安定していきます。良い面も悪い面も全て含めて自分自身を受け入れられると、他人の言動に過剰に反応したりすることも無くなるし、無駄に自分を責めたりすることも少なくなるので、周囲とも冷静にコミュニケーションを取ることができるようになります。
まずは普段から自分に対してどんな言葉を投げかけているのか、思い出してみてください。
もしかして、自分を責めるようなネガティブな言葉を自分にぶつけてしまってはいませんか?
もしそうならその「自分を責める言葉」を、「自分を応援する言葉」に変えてみてください。
例えば…
「自分はダメだ」→「今の自分がダメだということは、それだけ伸びしろがあるって証拠だ。良かったな!」
「また失敗した」→「失敗したおかげで、またひとつ賢くなったな。まだまだ成長できるぞ!」
「自分はなんて情けないんだ」→「つらい思い・情けない思いをした分だけ人の気持ちが分かるようになる。また一つ人の気持ちが理解できるようになったな。」
「自信が無い」→「大丈夫、お前ならきっとできる。たとえ失敗してもその経験はこの先できっと活きてくるわけだから、最悪失敗してもいいじゃないか。思い切って飛び込もうぜ。」
このように自分で自分を応援してあげる。まるで他人と会話するように、意識的に自分自身と対話をする。自分が味方となり、自分に力を与えてあげるのです。
「こんなことで効果があるのか?」と思われるかもしれませんが、騙されたと思ってやってみてください。
たったこれだけで、自分に対する信頼度や自信は確実に変わっていきますから。
ただ、一週間やそこらで効果が表れるとはいきませんので、日々実践し続けていくことが重要ですからね。
全ての人間関係の土台は「自分との信頼関係」です。
自分に対する信頼感を高めることが、結局は他人との関係の改善へと繋がっていくのです。