#58『ミスを出さないためのプレッシャーが、逆にミスを誘発してしまうジレンマ』 | Life Compass

#58『ミスを出さないためのプレッシャーが、逆にミスを誘発してしまうジレンマ』

ミスが起こってしまう―
これは新人でもベテランでも、嫌なもの。

自分がミスを犯してしまうのも嫌だし、組織のリーダーであれば部下がミスをすれば自分が責任を持って対処しなければならない。

では、どうしてミスは起こるのか?
意識が低いから?
気が抜けているから?

もしそうなら、「絶対にミスはするな!」と自分自身を追い込むとか、周りの人間に強くプレッシャーをかけて緊張感を持たせたりすれば、解決しそうですよね。

でも、そうやってミスをしないようプレッシャーをかければかけるほど、実はミスは起こりやすくなってしまうものなのです。
これまでいくつもの組織を渡り歩いてきた僕が、自分の経験を元にその理由を説明していきます。

 

プレッシャーをかけると、逆にミスが起こりやすくなる理由

理由は主に3つあります。

 

①人はプレッシャーがかかると冷静さを失う

若かりし頃、僕は上下関係のメチャメチャ厳しい職人気質の葬儀会社に入社したことがあります。
その会社では、ほんの小さなミスや、会社の方針にそぐわない様な判断・行動をちょっとでもしただけで、ビックリするぐらい怒鳴り散らされるような超ブラックな職場。

それで、当時の僕は若手とはいえ、葬儀業界に入って7年ぐらいのベテランで仕事にもじゅうぶん慣れていました。
でもある時、新人の頃でもやったことの無いような、とんでもない大きなミスを犯してしまいました。
自分でも、なんでそんなミスをしてしまったのかサッパリ分からない、あり得ないようなミスでした。

でも今思い返せば、あの頃の僕はいつも焦っていた。
常に上司からプレッシャーをかけられ、いつも何かに追われるかのように慌てながら仕事をしていた。

ということで、あまりにもプレッシャーがかかりすぎると、人はそのプレッシャーにばかり気を取られてやるべきことに集中できなくなり、視野はどんどん狭まり、目の前のことすらも見落としてしまうようになってしまう。
普段の冷静さを失ってしまうのです。

 

②ミスを隠すようになる

周りからプレッシャーをかけられすぎると、人は自分の犯したミスを周りにバレないように隠すようになります。

誰だって、周りから責められたり叱られたりするのは嫌なもの。
だから、例えばちょっとのミスでも厳しく叱られるような環境にいると、だんだんとミスをごまかそうとするようになる。

そして、そうやって隠した小さなミスが積み重なっていき、最後は取り返しのつかない事態にまで発展していく。
いわゆる“報・連・相”が機能しない組織になり、トラブルが多発し始めるようになる。
(“報連相”とは「報告」「連絡」「相談」の頭文字を取ったもので、仕事をスムーズに進め、ミスの早期発見や情報共有の徹底を目的としたもの)

 

③「ミスをしてはいけない」そう思うほどミスに意識が向きすぎて、逆にミスを誘発する

実は人の脳は“否定形”を理解できない。
例えば「黄色いリンゴを絶対に思い浮かべないでください」と言われると、思わず黄色いリンゴを思い浮かべてしまいますよね。
つまり人の脳は、いわゆる“NOT”を理解できないのです。

だから例えば「コップを落とすな!」と言われると、まず“コップを落とす”イメージが頭に浮かぶ。
そして、そのイメージを打ち消そうとするうちに、動きがぎこちなくなって本当に落としてしまう。

同じように「ミスをしてはいけない」と考えるほど、脳はミスをするイメージを頭に浮かび上がらせ、それによって緊張したり焦ったりして、むしろミスが起こりやすくなってしまうのです。

 

ミスを防ぐにはどうすればいいか?

仕事でも何でも、何かをする時は適度な緊張感というのはもちろん必要です。
ですが、ここまで説明した通り、ミスを犯さないようにと必要以上に圧力がかかればかかるほど、逆にミスが起こり始めてしまう。
会社などの組織でもそうだし、親子や夫婦、先生と生徒など個人間の関係にも同じく当てはまります。

だからもしあなたが上の立場の人間であるなら、程よい緊張感を保ちつつ「俺についてこい!」とカッコイイ背中を見せて、周りの人間の手本となり導いてあげてください(笑)
責任ある立場の人間として時には厳しい姿勢を見せつつ、「困ったことがあれば俺が助けてやるから安心して相談してこい!」と、ミスを素直に報告できる空気感をどうか作ってあげてください。

またあなたがプレッシャーをかけられる側の人間であるなら、まずはとにかく「自分のやるべきこと」に意識を向ける。
「ミスをしてはいけない」ではなく、「正確にやっていこう」「落ち着いて一つずつ確認しよう」と、出来れば自分の望む行動を言葉にして声に出しながらやっていく。

先ほども言った通り、人の脳は“NOT”を理解しないので、「ミスをするな」ではなく「丁寧に確認していこう」「呼吸を整えてから始めよう」など、意識の矢印を「避けたいこと」ではなく「やりたいこと」に向ける。
これだけでも、脳の無駄な緊張が緩み、パフォーマンスも向上するはずです。

 

それと、あとこれは僕個人の感覚の話ですが、僕はまだペーペーの平社員の頃から常に「自分はこの会社の経営者だ」という感覚を持ちながら仕事をしてきました。

とは言っても会社の経営をしたことも無い若造が経営者と同じ意識を持つなんてことは不可能ですが、そういった意識を持とうとすることによって、より高い視点から周囲を見渡せるようになり、自分が本当にすべきことは何なのかが見えるようになる。
そして自分のやるべきことに、より集中できるようにもなる。

あなたが会社や組織などの経営者でないのなら、良かったら試してみてください。
ということで、では。

仁より