よく会社なんかで
「最近の若者は叱るとすぐ会社を辞める」とか、
「今の若者は根性や忍耐が足りない」とか、
とにかく若い人は怒られることに対する耐性が無いという話をよく聞きくんですよね。
そしてその原因として「最近の若い人は怒られた経験が少ないからだ」という声もよく聞きます。
実はこれ、本当でもあり嘘でもある。
怒られることにより精神的に鍛えられていく人もいれば、逆にどんどんダメになっていく人もいるのです。
同じように怒られて、なぜ成長する人もいれば、逆にダメになっていく人もいるのか?
その理由が分からなければ、いくら叱られても成長することは出来ない、強くなることなど出来ないのです。
はっきり言います。
怒られるとすぐ会社を辞めたり、逃げ出したり、すぐ諦めてしまう…その原因は、怒られ慣れてないからではない。
そんなこと関係ないのです。
どうすれば、怒られても心が折れずにいられるのか。
どうすれば、怒られても平気でいられるのか。
どうすれば、怒られることによって成長していけるのか。
今回はそのことについて話していきますね。
なぜ怒られると、むしろダメになるのか?

「怒られることを恐れる人は、怒られ慣れていないからだ」
子供の頃に怒られるという経験をしてこなかったため、大人になり社会に出てから急に上司や先輩に怒られると、どうしていいか分からず戸惑ってしまったり逃げ出したりしてしまう。
確かにこれまで怒られた経験の無い人間からすれば、大人になって急に怒られればビックリして怯んでしまうでしょう。
でも、子供の頃に毎日のように怒られ続けてきた僕の経験からすれば、これは完全に本質からズレています。
怒られることに耐えられないのは、自己肯定感が低いからです。
怒られ慣れるとかは、基本的に関係ない。
もし「怒られ慣れていないから」というのが原因であるなら、大人であれば何回か怒られる経験を積めばすぐ慣れます。
こんなことで頭を悩ませることなんて無いはずなんです。
怒られることが苦痛でたまらない、逃げ出してしまうのは、自己肯定感が低いから。
耐えられない最大の原因は、自己肯定感が低いからなのです。
自己肯定感の低い人が怒られると…

自己肯定とは、自分のことを自分で肯定してあげること。
自分で自分を認めてあげることです。
自分の存在そのものを、そのまま受け入れてあげることです。
この自己肯定感は、子供の頃より親や周囲の人間たちから
「自分をちゃんと受け入れてもらえた」
「自分のことを認めてもらえた」
といった経験を重ねることにより、その土台が作られていきます。
自分が受け入れられ、認められることにより、
「自分はここにいてもいいんだ」
「自分はみんなから愛されているんだ」
といった自分を肯定する思いが高まっていき、それはやがて自分を信じる気持ち、「自信の心」を作り上げていきます。
自己肯定感が高いと、怒られようが、例え自分のことを悪く言われようと、「俺はダメな人間だ」なんて自分を否定することが無くなる。
冷静に相手の言葉を受け止めることができるので、むしろ怒られた経験を通して様々なことを学んでいき、どんどん成長していく。
しかし自己肯定感が低いと、最初から自分を否定する考えが自分の中にあるので、怒られることによって、
「あぁ、やっぱり俺ってダメな人間なんだな」
と自己否定感をさらに強めていってしまう。
例えそれが怒るという行為でなく、アドバイスや助言であっても
「俺がダメな人間だから、こんなこと言われるんだ」
と悪い方へと取ってしまうようになる。
結局どんなことを言われても、全て自分を否定する材料へと変えてしまうのです。
そして自己肯定感の低い人間にとって怒られるという行為は、強烈な「自分を否定される行為」になる。
だから自己肯定感が低い人間が怒られると、怒られることに慣れるどころか、ますますダメになっていってしまうのです。
怒られ慣れる必要はない

実は僕自身、以前は自己否定の塊のような人間でした。
人から何を言われても、全て自分を否定する言葉として捉え、いつも「俺のような人間は、いない方がいいんじゃないか」とばかり考えていました。
そんな僕が自分自身の、異常なまでの自己否定の強さに気付いたのは30歳を越えてからです。
それに気づいてからは、自分の人生を変えていくため、必死に自分の心と向き合いました。
まずはこれまで自分にダメ出しばかりし続けていたのをやめ、自分の望むように振る舞ってこれなかったこれまでの自分を全て許し、そしてこれからの人生で何があっても自分で自分を見捨てたり見限ったりせず、どんな壁が立ちはだかろうともこの体と心で闘っていくんだと腹をくくり、それを自分に向かって誓いました。
すると次第に、何かあるとすぐに乱れていた僕の感情がだんだんと安定し始め、気付けば上司や目上の人間から怒られても恐怖を感じなくなりはじめていました。
『人と違ったっていい
むしろ人と違うからこそ価値があるのであって、他の誰かと比べて優劣を競わなくていい
僕は僕の基準で生きればいいのであって、無理して他人に合わていたら、僕が僕じゃなくなる
僕は、今のままの僕でいいんだ』
そうやって自分と信頼関係を丁寧に築いていき、自己肯定感を高めていくことによって、次第に僕は他者に対する恐怖の感情もコントロールできるようになっていきました。
大切なのは、怒られることに慣れよう、慣れさせようとするのではなく、自己肯定感を高めていくこと。
怒られることによって「相手から否定された」と感じることもあると思います。
でも実は否定しているのは相手ではない。
相手の発した言葉を、自分で勝手に「俺(私)は否定された」と自分で解釈しているだけ。
あなたの存在を否定できる人間は、この世界であなた一人しかいないのです。
自分のことを信じてあげるのです。
自分を信じ、受け入れ、自己肯定感を高めていくのです。
自分のあらゆる部分を“他とは違う自分だけの個性”として受け入れてあげることによって、自己肯定感は高まっていく。
そして自己肯定感が高まるほど、怒られるという行為から、よりたくさんの気付きも得られるようになる、怒られることがむしろプラスに働き始める。
大切なのは怒られ慣れることではなく、今の自分を受け入れること。
あなたはこの世でたった一人しかいない、唯一無二の存在なのですから。
では。
仁より
