「そういうつもりで言ったんじゃないのに…」
「ちゃんと説明したのに伝わってない」
「いくら話しても、相手が理解してくれない」
そういったコミュニケーションの行き違いって、どうしても起こりますよね。
そんな時、話を理解してくれなかった相手のことをつい責めてしまうこともあるかと思います。
「自分はちゃんと話したんだから、それを理解しなかった相手が悪い」みたいに。
これって話し手側の説明が悪いのか?
それとも聞き手側の理解の仕方に問題があるのか?
どちらが悪いのでしょうか?
あなたはどう思います?
それで、最初に結論を言いますが、相手に対して「自分が何をどのように言ったのか?」ではなく、「あなたの言葉を相手がどう受け止め、どのように解釈したか?」がコミュニケーションの全てです。
つまり、仮にあなたが相手にきちんと説明したとしても、相手の耳に届いてなかったり相手が全く理解していなければ、相手にしてみれば「あなたはその説明をしていない」のと同じなのです。
あなたが何を言おうと相手がそれを認識していなければ、言っていないのと同じということ。
こう言うと、ちょっと理不尽に思われるかもしれませんね。
ではなぜこちらの考えが相手に正確に伝わらないのか?
まず最初に抑えておかなければならないのは、「自分の頭の中と相手の頭の中は、同じではない」ということ。
例えばですが、これまで僕は長年葬儀の仕事をしてきました。
それで葬儀の打ち合わせの時に、ご遺族から「家族葬でやりたいのですが」と言われることがよくあります。
家族葬というと、あなたはどれくらいの規模の葬儀を想像しますか?
例えば家族のみの数人の葬儀、または親戚も含めた15~20名ぐらい、もしくは親しい友人なども含めた30人以上の葬儀…
おそらく人によって家族葬の範囲は違ってくるのではないでしょうか。
これまで僕が担当した家族葬でも、参列者が1人しかいない時もあれば50人くらい来られたケースも実際にありました。
つまり同じ「家族葬」の話をしていても、その人間によって頭で思い描いているものは違っていたりする。
同じ事柄についての話をしているようでも、頭の中でイメージしているものが自分と相手との間でズレているということはごく当たり前にあることなのです。
このようにお互いに頭の中で思い描いているものがズレているわけだから、その後の話も当然ですが噛み合わなくなっていきますよね。
だから僕ら葬儀社が家族葬の依頼を受けた時は、「どこまでの関係の人が来るのか、その範囲」や「実際に参列される人数は何人ぐらいを想定しているのか」といったことを必ず確認します。
つまり相手の認識を確認し、互いの認識を出来る限り一致させたうえで話を進めていくわけです。
ということで、周りとの意思疎通を円滑にしコミュニケーションの事故を起こさないためのポイントを、これから4つほど挙げていきます。
まず1つ目は、今話した通り「お互いの認識を出来る限り一致させながら会話を進める」です。
例えば妻が夫に「ゴミを捨てておいて」と言ったとします。
ゴミ捨てを頼まれた夫は「玄関に置かれているゴミ袋をゴミ捨て場までもっていく」ことがゴミ捨てだと思っていたが、妻にとっては「家にあるゴミ箱からゴミを集めて袋に入れてゴミ捨て場まで持っていく」までがゴミ捨てだと思っていて、認識の違いからケンカになってしまったなんてことがあったりしますよね。
だから日頃から「自分の頭の中と相手の頭の中は、同じではない」という前提で人と接する。
そしてその前提に立ったうえで「お互いの認識を出来るだけ一致させながらコミュニケーションを図っていく」という意識を持って人と会話をすることによってコミュニケーションの事故はグっと減っていきます。
次に2つ目ですが「相手の表情やリアクションを観察しながら会話をする」です。
こちらが話しているのに相手がポカ~ンとした表情をしていたら、それは相手が話を理解していないか、こちらの話に相手がついてきていない可能性が高いですよね。
でも多くの人がそれに気づかず自分の話を一生懸命に話し続けていることが往々にしてある。
その結果、相手は何も理解していない・相手に何も伝わっていない、といったことが起こるわけです。
また相手が怪訝そうな表情をしていれば、会話の中で何かしらの誤解が生じているかもしれないし、または相手がこちらの意見に同意してくれていない可能性もあるので、話の内容をさらに掘り下げてより丁寧に説明する必要があるかもしれません。
色々なパターンがありますが、とにかく相手の表情を見ながら会話することが大事ということ。
そうすることによって、早い段階で話の軌道修正が出来るようになります。
次に3つ目は「話の途中で相手が理解してくれているか確認する」です。
これはいわゆる講演会やセミナーの講師などが使う手法ですが、話の途中で「ここまでの話は理解してもらえてますか?」「ここまでで質問のある方はいらっしゃいますか?」といった問いかけをされたりしますよね。
自分の話が相手にちゃんと伝わっているか?ちゃんと理解してもらえているか?というのを確認しながら話を進めることによって認識のズレを無くし、話をより正確に理解してもらうことができるようになります。
僕も普段の会話の中で相手に自分の話を理解してもらえているか自信が無い時は、「僕の言いたいことって、分かる?」といった問いかけをすることがあります。
それで相手が微妙な表情をすれば、また違う表現で説明し直したりなどして互いの認識を一致させるようにしています。
そして最後の4つ目は「相手の話を、自分の言葉に変えて言い直す」です。
これは自分が聞き手の時のパターンになりますが、相手の言った言葉に対し「なるほど、つまりあなたの言ってることは〇〇ということだよね」「つまりあなたは、こういうことが言いたいんだよね」「それって〇〇という解釈で合ってる?」といった具合に、相手の言った言葉を僕自身の言葉に変えて相手に説明し直すというものです。
これは僕自身、日頃からよく使っているのですが、自分の言葉で言い直すことによって相手との認識のズレが無くなるだけでなく、相手の話に対して僕自身の理解も深まる効果があります。
また、相手の考えを僕なりの言葉で言語化してあげることによって、相手から「そうそう、それが言いたかったのよ」みたいに感謝されることも実はよくあったりします。
これによって相手とのコミュニケーションの事故は、目に見えて激減します。
ということで「相手との認識のズレを修正し、コミュニケーションの事故を未然に防ぐための4つの方法」について説明させていただきました。
良かったらご参考になさってください。
では。
仁より