♯18『他人と競い合う人ほど成長が遅い理由』 | Life Compass

♯18『他人と競い合う人ほど成長が遅い理由』

どうも、仁です。
僕は子供の頃より学校・スポーツクラブ・会社などで様々な人間から指導を受けてきました。
それである程度年齢を重ねた今、人を成長させるうえで改めて「世の中には間違った教育が蔓延しているなぁ」と思うわけです。

そこで今回は、数ある間違いの内の1つについて話していこうと思います。
今回の話は、あなたが今後成長していく上でもきっと参考になると思いますので、良かったらお付き合いください。

 

ところで人を成長させる際に、「他人と競わせる」という方法を取ることがありますよね。

例えば、会社で各社員の営業成績をグラフにして事務所内に張り出して競争意識を高めたりとか。
またはスポーツでも選手同士が競い合うような環境を作ったりとか。

こういった手法は昔から広く行われているやり方ですが、これはこれで効果はあると思います。
良いライバルがいれば刺激ももらえるし、やる気やモチベーションも一気に上がります。

使い方次第では非常に効果の期待できる「他人と競い合わせる」という方法。
しかし、とある実験で「他人と競い合った方が、その人間の成長速度は遅くなる」という真反対の結果が実証されてしまいました。

 

その実験とは、心理学者であるルース・バトラーという人によって行われたもので、ある中学生を対象として行われた学力に関するテストです。
中学生の子供たちを2つのチームに分け、それぞれ違う条件でテストをさせました。

まずテストの前にそれぞれのチームには、以下のことを伝えたそうです。
A チーム: 他の学生と比較して、あなたたちを評価する
B チーム: あなたの成績の上がり具合を基準に、あなたを評価する

つまりAチームの学生には、他の人間と比較することによって競争意識を煽り、やる気を起こさせるやり方。
そしてBチームの学生には、過去の自分を基準とし、過去の自分と比べてどれだけ成長したかで評価するやり方。

さらに各チームにテストの意気込みを尋ねると
A チーム: 能力を示したい。ミスを減らしたい。
B チーム: 頭を鍛えたい。問題解決能力を高めたい。
といった答えが返ってきました。

そうしてその後テストを何度か繰り返していくうちに、AチームよりBチームの成績の方が大きく伸びていく結果となったそうです。
またBチームの学生からは「テストが楽しかった」という声もあったとのこと。

ということでこの実験により、他者と比較するよりも過去の自分と比較した方が、より成長につながるということが証明されることになりました。
また上に書かれたテストの意気込みを見てもわかる通り、Aの「能力を誇示したい」という姿勢よりもBの「自分が成長したい」という姿勢の方が人はより成長していけるし、前向きに楽しくチャレンジもしていけることも分かりました。

 

とはいっても、「やっぱり他人と競い合った方が、やる気やモチベーションも上がるよね」といった声もあるかと思います。
確かにそれも一理あるし、否定するつもりもありません。

ただ他者との競争が成果を上げるのは、あくまで短期決戦の時。
一時的にやる気を奮い起こさせるには、周りとの比較や競争は確かに効果を発揮します。
しかし長期的に努力し続けるとなると、モチベーションが続かなくなる時が必ず来ます。

というのが他人と自分を比較してばかりいると、気持ちが安定しない。
それこそ自分が他人より結果を出して絶好調の時は「どうだ、見てみろ!俺ってすごいだろ!」とモチベーションが爆上がりしますが、逆に自分だけ結果が出せない状態が続くと「俺ってホント情けないな…」とモチベーションは一気にどん底まで落ちたりする。
周りの人間が出す結果に、いちいち気持ちが振り回される。
他人と自分の結果を見比べては一喜一憂して、やるべきことに集中できない。

また、今以上に結果を出せる能力があるにもかかわらず、周りと比べて自分の成績が良かったりすると、「まぁ、こんなもんでいいか」と評価を落とさない程度に無意識に力をセーブしてしまうといった弊害も出てくる。

これが他者との比較ではなく自分との比較なら「過去の自分と比べてどれだけ成長できたか?」が判断基準になるので、周りがどんな結果を出そうと関係ない。
自分のやるべきことに集中して取り組めるので、安定して成長し続けられる。
そしてちゃんと努力し続ければ、確実に過去の自分よりも成長できるし、それを実感することもできるので達成感も感じられる。
だから先ほどのBチームの学生からも「テストが楽しかった」といった声が出たわけです。

 

長い人生において必要なのは一時的に激しく燃え上がる炎ではなく、激しくなくとも長く燃え続ける炎です。
例えば何か素晴らしい本を読んだり、またはやる気を起こさせてくれるような素晴らしい講演会やセミナーなどに参加すると、多くの人が感銘を受けてテンションは上がり「よぅし、やってやるぞ!」となります。
でもそのほとんどが、三日後、一週間後、一か月後にはいつもの自分の戻ってしまう。
そして何も結果を出せずにお金と時間だけが消えて終わる。

実は重要なのは、一時的に燃え上がった炎が冷めた後。
一時的な興奮状態から普段の冷静な日常に戻った時、その本や講演会・セミナーなどで学んだことを日々の生活でコツコツと実践し続けられるか。
やる気の炎を灯し続け、自分のやるべきことをコツコツとやり続けられるか。

そのためにも、周りの人間と比べるのではなく過去の自分と比較することが重要なのです。
過去の自分と比べてどれだけ自分が成長できたのか?を基準とし、努力することによって自分が一歩一歩成長していることを実感することが大切。
成長を実感することによって、足を止めることなく歩みを続けられるようになる。

これが、自分の成長具合を他人と比較してしまうと、いくら自分が成長しても自分以上の結果を周りに出されてしまうと、どうしても自分の成長を実感することができなくなってしまう。
最後には「自分なんて、努力したってどうせダメなんだ」と諦め、せっかくの可能性も消え失せてしまう。

それにですね、どんなに頑張っても自分より結果を出す人間というのは必ず現れるものです。
でも、じゃあその人間がいつでも必ず目に見える結果を出し続けているのか?と言われれば、まずそんなことはありません。
大きな結果を出す時もあれば、逆にあなたよりも結果を出せずに苦しんでいる時も当然あるのです。

でも人というのは他人の出した派手な結果に目を奪われてしまうもの。
その時たまたま目にした他人の活躍ばかりが目に付いてしまうものなんです。
そして競い合っている相手がたくさんいればいるほど、その中からあなたより結果を出す人間が偶然現れる確率は単純に上がってきます。
そんな中で、人生において常に誰にも負けないような結果をずっと出し続けることなんて不可能だし、それができるとすればそれは選ばれたごく一握りの天才だし、僕はそんな人と出会ったことは一度もありません。

いいですか。
競うべき相手は他者ではなく、過去の自分です。
「昨日の自分を超える」という目標を持って日々努力し続ければ、半年後・一年後・二年後…のあなたは自分の想像をはるかに超えて成長しているはずです。

そしてこれは学業、スポーツ、仕事だけでなく、あらゆるジャンルに当てはまる法則です。
他人と比較するということは他人の目を気にするということであり、「他人より結果を出したい」「他人に認められたい」といった承認欲求に操られている状態。
つまり「他人に認められること」が目的となってしまい、自分のやるべきことに集中できていない、自分のやるべきことが見えなくなってしまっている状態。

これがもし自分のやるべきことが見えていて、なおかつ短期的に結果を出すことを目的としているのなら、他人と比較し競い合う方法を一時的に取り入れるのもいいと思います。
例えばスポーツで、「普段の練習」ではなく「本番の試合の時」などはそれに該当するのではないでしょうか。

そういった「ここ一番」の一時的な爆発力が必要な時は、「自分との闘い」ではなく「他人との闘い」という発想に切り替えるのもアリだと思います。
でもそうでない時は、成長の度合いを測る相手は常に「昨日の自分」です。
「昨日よりも〇〇がうまくなれた」
「新しく〇〇ができるようになった」
こうやって過去の自分と比較することにより、周りに振り回されることなく確実にあなたは成長する。
自分のやるべきことに集中し、力を分散させることなくそれに力を注ぎこめるようになる。

他人との比較ではなく、自分を基準として生きる。
それが最大限に自分を成長させるための、最も効率の良い方法です。

ということで最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
では。

仁より