相手を論破するのって、快感ですよね。
相手の意見の矛盾を突き、論理で相手を打ち負かす。
相手は引き下がるしかなくなり、見事あなたは勝利を手にする。
その瞬間はあなたの意見を通すことができるので、気分はスカっとするかもしれません。
ですが、もしあなたが自分の意見を通したいのであれば、今後は論破をやめることをオススメします。
コミュニケーションにおいては正しい主張をすることが必ずしも正解ではない
たとえばですが、あなたの発言に対して相手が「いやいや、それは違うだろ。何考えてんの?頭大丈夫?アハハハ。」なんて100%全否定してきたら、ムッとしますよね。
また周りも一緒になって「あなたの考えはおかしいよ」なんて言い始めたなら、仮に相手の意見が正しかったとしても、その意見を素直に受け入れることができるでしょうか?
…おそらく難しいですよね。
思わず感情的になってしまい、素直に相手の話を聞くことなんてできないですよね。
でもそんな時に「間違ってるかもしれないけど、お前の言いたいことは確かに分かるよ。」そんなことを言う人がいたなら、どうですか?
仮にあなたが間違っていたとしても、あなたの話をちゃんと聞き、あなたの気持ちを理解しようとしてくれる人がいたなら、どう思います?
もしそんな人がいたなら、その人はあなたにとって「自分を理解してくれる特別な人」に見えるはず。
そしてその人の話なら、素直に「聞いてみよう」という気になるのではないでしょうか。
コミュニケーションにおいては、正しい主張をすることが必ずしも正解ではない。
相手の間違いを指摘する前に、相手の気持ちや想いをまずは理解しようとする「ひと手間」をかけることができるかどうか。
それを言葉や態度にして、目の前の相手にプレゼントしてあげられるかどうか。
この「ひと手間」をかけるだけで、あなたの意見は驚くほど通りやすくなっていくはずです。
つまり、あなたが自分の意見を通したいのであれば、やるべきことは「論破」ではなく「理解」を示すこと。
詐欺師にコロッと騙される人が後を絶たないのも、詐欺師が「相手の気持ちに理解を示す」というひと手間を惜しまないから。
ちょっと例えは悪いですが…
コミュニケーションにおいては「どちらが正しいか?」は二の次であり、重要なのは「この人は私を理解してくれる人だ」と相手に思ってもらえるかどうかということ。
6秒ルール
相手が間違っていると察知した瞬間、「それは違うよ!」と思わず反射的に反論してしまうことってあると思います。
なぜ瞬間的に反論してしまうのか?
それはあなたの「システム1」が自動的に働いているからです。
ちょっと意味が分からないと思いますので、簡単に説明しますね。
心理学では、人間の思考には2つのモードがあるとされており、それぞれを「システム1・システム2」と呼びます。
まず1つ目のシステム1は、直感的・自動的な思考であり、感情や経験に基づいて瞬時に判断するもの。
次に2つ目のシステム2は、論理的・意識的な思考であり、何かを分析したり慎重な意思決定をする時に使う思考。
例えば1+1の様に瞬時に判断できる直感的・自動的な思考はシステム1。
134×781の様に、紙に書いたり頭を使わないとわからない論理的・意識的な思考はシステム2。
また例えば、初めて会った人が、背筋が伸びていて声がはっきりしている。
するとあなたは無意識に「自信ありそう」「仕事できそう」と感じるかもしれません。
これは システム1の働きであり、過去の経験やイメージに基づいて瞬時に判断しているわけです。
しかしその後、「本当にこの人が信頼できるか?」「言っている内容は筋が通っているか?」と冷静に考え始めるのはシステム2の働きになります。
それでですね、人間の思考はまず最初にシステム1が起動してものごとを判断するようにできています。
つまりシステム1がデフォルトということですね。
そしてシステム2は通常スリープ状態になっており、意識的にスイッチをオンにしないと起動しない。
そして起動するまでに、だいたい5~6秒くらいかかると言われています。
つまり相手の発言に対して反射的に反論してしまうのは、システム1の仕業ということ。
そして相手の話を落ち着いて理解するためには、システム2を起動させなければならない。
(システム1・2については、ページ下の仁の講座にある無料講座の【人の輪に飛び込むためのスタートアップガイド:実践編】の中で説明していますので、興味のある方はご覧ください)
ということで人と口論になった時は、まずは反論せずに口を閉ざす。
そして相手の話を聞きながらゆっくりと6秒くらい間を開けてから、発言をする。
これを習慣化することによって、感情に振り回されることも少なくなり、だんだんと論理的で建設的な議論ができるようにもなっていきます。
相手の言い分も落ち着いて聞いてあげることもできるようになるので、感情的な言い合いに発展することも随分と少なくなるはずです。
つまり論破なんてしなくても、相手はあなたの話を聞いてくれるようになるということ。
ということでまとめると、まずは相手の発言に対して反射的に反応しない。
相手の話を聞きながらゆっくりと6秒くらい間を置き、それから「なるほど、あなたの言ってることは分かるよ」と、相手の気持ちに理解を示す言葉をプレゼントしてあげるところから会話を始めていく。
最初にこれをしておくだけで、その後の相手の態度は随分と変わっていくはずですから。
ぜひ参考にしていただければと思います。
では。
仁より
