人から怒られたり責められたりすると、つい反論や言い訳をしたくなるもの。
もちろん、自分のミスが原因なら素直に謝るしかない。
でも中には、あなたが間違っていなかったり、やむを得ない事情がある場合もあると思います。
「ちゃんと理由を説明して誤解を解きたい」
そう思うのは自然なこと。
ところが、説明しようとすればするほど相手が余計に怒り出したり、関係が気まずくなったりする――
そんな経験って、ありませんか?
こちらは冷静に誤解を解こうとしているのに、なぜか火に油を注いでしまう状況に。
「分かり合いたいだけなのに、言えば言うほどこじれていく…」
本当に困りますよね。
でも安心してください。
ちゃんと“相手の怒りを鎮めながら、こちらの言い分を聞いてもらう方法”があります。
言い訳や説明が「逆効果」になる理由
人は他人から責められると、本能的に自分を守ろうとします。
だから自分の行動を他人から咎められたりした時、多くの人が「説明」「反論」「言い訳」といった形で自分の正しさを証明しようとする。
でも実はこれ、相手からすると“反撃”されたように感じてしまうのです。
たとえあなたの言い分が正しいとしても、あなたが口を開くことによって相手は「反撃された」「こちらを否定してきた」そう受け止める。
そして相手が感情的であればあるほど、その印象は強くなっていく。
ただ、もし仮に相手が自己肯定感の高い人なら、あなたの意見や反論を聞いても「それも一つの考え方だね」と受け止めてくれるでしょう。
ところが自己肯定感の低い人の場合は、そうはいきません。
なぜなら自信がない人ほど、自分と違う意見を言われると「自分が否定された」と感じてしまうから。
相手から反論されると「自分が間違っているのかも」と心の中で焦りだし、自分の方が正しいんだと言って怒り出す。
つまり、自己肯定感の低い人ほど、反論や言い訳を“自分への攻撃”として受け取るのです。
じゃあどうすればいいの?って話になりますが、自己肯定感が低い人を完全に見抜くというのは難しいものです。
だからこそ、誰が相手であっても効果のある「万能な対応法」を身につけておくことが大切。
それが「怒りに対しては感謝で返す」です。
怒られたら、まずお礼を言いましょう。
「指摘してくださってありがとうございます」
「気づかせてくれて助かりました」
「おっしゃる通りです、勉強になります」
ポイントは、“前向きな感謝の言葉”で返すこと。
人は誰でも、感謝されると嬉しいものです。
また怒った側も、実は少し罪悪感を感じていることがあります。
「言い過ぎたかな…」と内心で思っている人も少なくありません。
だからこそ、お礼を言われると「自分が良いことをした」ような気分になり、安心するのです。
そして自分に対して好意的に接してくれるあなたに対し、“いい人だと思われたい”という心理が働き始める。
僕も若かりし頃に意地の悪い上司の下に付いたことがあるのですが、小言を言われるたびに「わざわざ僕のために言ってくださり、ありがとうございます」とお礼を言い続けていると、その上司は頼んでもいないのに何かと僕を助けてくれるようになり、仕事がすごくやりやすくなった経験があります。
つまり“お叱り”に対して“感謝”で返すことにより、相手はあなたを責めにくくなるばかりか、場合によっては強力な味方にもなってくれるということ。
ということで、感情的になってあなたを責めてくる相手に対しては、まずは「感謝」で返す。
そして感謝の言葉を伝えながら、相手の話をしっかり聞く。
そして相手の考えをいったん受け入れてから、自分の意見を伝える。
つまり感謝の言葉の後は
① まず相手の考えを肯定する
② そのうえで自分の事情を説明する
この順番です。
この順番を守るだけで、相手の反応は柔らかくなっていきます。
「自分を理解してくれている」と感じた相手は安心し、あなたの話も受け入れやすくなるわけです。
また、相手が男性なら「能力を褒めるお礼」が効果的です。
たとえば――
「なるほど、その視点は無かったです。いやぁ、勉強になりました」
「さすが〇〇さん、そんなところまで見えているなんて…もっと教えてください。」
みたいに具体的にその相手の能力を褒めるかのようにお礼を言う。
多くの男性は自分の能力を褒められること、能力を認められることに弱いですから。
また相手が女性であるなら、能力ではなく「共感+信頼を伝えるお礼」がいいのではないでしょうか。
たとえば――
「いつも気にかけてくださってありがとうございます」
「ちゃんと見てくださって、嬉しいです」
といったように、感情的なつながりを感じさせるようなお礼の仕方の方が、より効果があります。
ということで
怒られた時につい反論したくなるのは、誰しも当然のこと。
でも感情的な相手に対し、どんな正論も残念ながら通じません。
まずは「感謝で返す」こと。
それが相手の怒りを鎮め、あなたの言葉を受け入れてもらい、そしてこちらの味方へ引き入れるための最初の一歩です。
慣れないうちはぎこちなく感じるかもしれません。
でも慣れてくると、きっと相手の変化が面白いほど分かるようになるはずですから。
では。
仁より
