前々回の【#70:たった四文字で、人生の可能性が変わる話】では、言葉を変えることで自己像の固定化を解除できる話、そして前回の【#71:三日坊主はメンタルが弱いせいじゃない。あなたの“在り方”が決まっていないだけ。】では、在り方が先に決まると行動が必然的に継続し始めるという話をしてきました。
でも今回はもう少し手前の話、そもそも「在り方」なんてどうやって作るのか、について書こうと思います。
そのためにも、まずは僕自身の話をさせてください。
僕は子供の頃から、自分に価値を感じることができなかった
周りにとってのお荷物でしかない、そう思っていました。
なぜここに存在しているのか、自分はいったい何者なのか、自分は何のために生まれてきたのか。
そういったことを、若い頃からずっと考え続けながら生きていました。
かつての僕は、何も中身が無いカラッポ。
アイデンティティそのものが、まるごと空白だった。
そしてそんな価値を見出せない自分自身に、僕は耐えられなかった。
どうすれば、この空虚感を埋められるのか?
どうすれば、「自分はここに居てもいい」と自信を持って思えるようになれるのか?
答えを持たない僕は、その答えを求めて、自然と周囲の人を観察するようになっていった。
男女関わらず、実在・架空を問わず、「人間的に魅力的だ」と感じる人を見つけては、その人のどこかを自分に取り入れようとすることを、僕は繰り返した。
振り返ってみると、僕のアイデンティティはそうやって、少しずつ作られていきました。
転機は30代前半、あるメンターとの出会いだった
人生に行き詰まっていた頃、ある一人の人物から学ぶ機会がありました。
男性的なオーラを軸として人間関係を構築していく、独自の教えを持つ人です。
その人から学んだことで、「在り方」という概念が初めて自分の中で輪郭を持ち始めた。
テクニックではなく、どう在るか。
行動ではなく、その手前の自分の核。
そのメンターの影響がどこまで関係しているかは分からないけれど、その頃から僕は「GACKTさん」に強烈に憧れるようになっていきました。
GACKTを「モデリング」したとは、どういうことか
僕にとってのGACKTさんは、今までの自分とはまさに対極にある存在。
揺るぎない美学。
一切ブレない自己規律。
存在そのものがコンテンツになっているような人間。
自分に価値がないと感じながら生きてきた当時の僕には、あの“在り方”が眩しくて仕方なかった。
ただ、僕は単なる憧れでは終わらせなかった。
彼のあの領域へと、踏み込む決意をしました。
最初は表面から入りました。
立ち振る舞い、話し方、声のトーン、話すスピード、笑い方、間の作り方。
目に見えるものを、意識して真似していく。
でも次第に、もっと深いところへ移っていきました。
価値観、信念、考え方、生き方そのもの。
そして最終的には、世界観そのものをモデリングしていった。
「なぜGACKTはこう動くのか?」「この判断の背後にある信念とはいったい何か?」を、想像しながら自分の中に落とし込んでいく作業です。
表面→内面→世界観という三段階で、少しずつ深く潜っていきました。
「理想の男ならどちらを選ぶか?」が、僕の判断基準になった
そうして時間をかけて形成されていったのが、今の僕の在り方の核心です。
普段からの立ち振る舞い、表情、話し方、声、笑い方、間の取り方、価値観、信念、生き方…全て、理想のカッコイイ男をイメージして、それに沿って行動しています。
何かしらの判断に迫られたとき、僕の頭に浮かぶ問いは常にシンプルです。
「その判断、その行動は男としてカッコイイか?」
たとえば仕事で、大勢の前でセミナーをしてこいと言われたとします。
以前の僕なら「どうしよう、上手く話せるかな、失敗したらどうしよう」と迷い続けていた。
でも今は違う。
「カッコイイ理想の男なら、きっと涼しい顔をして躊躇なく踏み出していくだろう」
そうイメージして、その理想の男に成りきって最初から最後まで演じ切る。
自分の在り方が先に決まっているから、判断に迷うことがとても少ない。
「自分はどうすべきか」が、今の僕は最初から既に決まっているのです。
観察を続けたことで、「観察者」というアイデンティティが生まれた
もう一つ、自分で気づいたことがあります。
アイデンティティを作ろうと多くの人を観察し続けた結果として、「自分は観察者だ」という新しいアイデンティティも生まれていました。
これが面白い。
観察者だという自己認識が生まれると、ますます観察するようになる。
観察を続けるから、観察眼も磨かれていく。
するとさらに観察者としての自己認識が強まる。
アイデンティティと行動が、互いを強化し合うループが生まれたのです。
在り方は、作るものじゃなくて「育てるもの」かもしれない
振り返ってみると、僕の在り方は一日で出来上がったものではありませんでした。
自分に対する空虚感から始まって、人を観察して、憧れを見つけて、メンターから学んで、モデリングを深めて。
その積み重ねの中で、気づいたら「これが自分の在り方だ」と言えるものが育っていた。
だから「在り方を今すぐ決めろ」と言いたいわけではありません。
ただ一つだけ言えることがあります。
まずは「この人みたいになりたい」と思える誰かを見つけること。
憧れるということは、あなたの中にもその人と同じ価値観や感覚があるからこそ、憧れるのです。
その人と共通するアイデンティティがあるからこそ、その人に惹かれるのです。
そして憧れる人を見つけたなら、その人の表面だけじゃなく、その内側にある価値観・信念や世界観を想像しながら、少しずつ自分の中に取り込んでいくこと。
そのプロセスを続けた先に、あなた自身の在り方は必ず形になります。
焦らなくていい。
ただ、これからも僕と一緒に、ずっと理想の生き方を求め続けてもらいたい、そう思います。
では。
仁より
