実は僕自身、HSP診断をすると「該当する」と出ます。
最初に結果を見た時は、「なるほど、だからこれまで生きづらさを感じていたのか」と妙に納得しました。
人の感情に敏感すぎること、些細な刺激に疲れやすいこと、一人の時間がないと回復できないこと…これまで「自分だけおかしいのか」と思っていたことに、説明がついたような気がした。
でも、もう少し調べてみて驚きました。
「5人に1人がHSP」
え、それって…むしろ普通では?
もちろん、一括りにHSPといっても症状の違いや重さには差があります。
「普通」という表現は乱暴かもしれません。
でも、これだけ多いということは、特殊な「病気」や「一部の人間だけが持つ特性」というより、人間の自然なバリエーションの範囲内なのかもしれないと思ったんです。
そして最近、ネットやSNSでよく見かける言葉が気になっています。
「私はHSPだから、人付き合いが苦手で…」
「HSPだから、会社勤めは無理なんです」
「HSPだから、傷つきやすくて…」
その言葉を見るたびに、ふと考えてしまうんです。
その診断は、あなたを理解する助けになっているのか。
それとも、あなたを諦めさせる理由になっているのか。
ラベルは「地図」か、自らを閉じ込める「檻おり」か
HSPに限らず、あらゆる診断名や概念には、2つの全く異なる使われ方があります。
1つは「地図」として使う場合。
「なるほど、だからあの時こう感じたのか」という自己理解のツール。
自分の特性を知ることで、どう対処すればいいか、どう環境を整えればいいかを考える出発点になる。
これは、そこから「じゃあどうしよう」と前に進むための道しるべです。
もう1つは「檻」として使う場合。
「HSPだから無理」「HSPだから仕方ない」という、思考停止のラベル。
診断名が、チャレンジしない理由、変わらない言い訳、諦める根拠になってしまう。
この2つの分岐点は、実はとてもシンプルです。
「だから僕は〇〇だ」で終わるか。
「だから僕は〇〇する」と始めるか。
人は最期に、何を振り返るのか
20年以上、葬送の現場で数え切れない人生の最期を見てきました。
人が人生の最後に振り返るのは、「自分が何者だったか」ではありません。
「どう生きたか」「誰とどんな関係を築いたか」「何を大切にしたか」です。
「私はHSPでした」と振り返る人は、一人もいません。
診断名は、あなたを理解する道具であって、あなたの人生の結論ではない。
診断との建設的な付き合い方
では、HSPという診断結果と、どう向き合えばいいのか。
1. 「だから私は〇〇だ」を「だから私は〇〇する」に変える
言葉の使い方を変えるだけで、診断は「檻」から「地図」になります。
【人間関係編】
「HSPだから人付き合いが苦手だ」
↓
「HSPという特性を持つ私は、疲れないために少人数での交流を選ぶ」
「HSPだから飲み会が辛い」
↓
「HSPという特性を持つ私は、エネルギーを温存するために参加頻度を調整する」
「HSPだから人の機嫌が気になって仕方ない」
↓
「HSPという特性を持つ私は、相手の感情と自分の責任の境界線を引く練習をする」
【仕事編】
「HSPだから会社勤めは無理だ」
↓
「HSPという特性を持つ私は、集中できる環境を確保するために席の配置や働く時間帯を工夫する」
「HSPだから怒られるのが怖い」
↓
「HSPという特性を持つ私は、落ち着いて冷静にフィードバックを受け止めるために、事前に質問をまとめるなど準備をしておく」
「HSPだから会議が苦手だ」
↓
「HSPという特性を持つ私は、刺激を減らすために発言のタイミングを事前に決めておく」
【日常生活編】
「HSPだから人混みが苦手だ」
↓
「HSPという特性を持つ私は、疲れないために空いている時間帯や曜日を選ぶ」
「HSPだから音や光に敏感で疲れる」
↓
「HSPという特性を持つ私は、回復するためにノイズキャンセリングや調光グッズを活用する」
「HSPだから一人の時間がないと無理」
↓
「HSPという特性を持つ私は、エネルギーを充電するために毎日30分の一人時間を確保する」
【感情編】
「HSPだから傷つきやすい」
↓
「HSPという特性を持つ私は、ダメージから回復するために自分なりの方法(散歩、音楽、読書など)を持っておく」
「HSPだから他人の評価が気になる」
↓
「HSPという特性を持つ私は、自分軸を育てるために『自分はどう思うか』を毎日書き出す」
診断は「理解」までで止めず、「じゃあどうする」まで進める。
これだけで、HSPは地図になります。
2. 僕自身の試行錯誤
かつての僕も、同じ生きづらさを抱えていました。
例えば、人の感情に敏感すぎて、相手の機嫌が悪いと「自分のせいだ」と思い込んでしまう。
職場で誰かがイライラしていると、その場にいるだけで消耗する。
でも、試行錯誤する中で気づいたのです。
「人の感情は、その人のもの」だと。
相手の機嫌が悪いのは、相手の課題です。
僕が感じ取ることはできても、それを僕が引き受ける必要はない。
この境界線を引けるようになってから、随分と楽になりました。
また、一人の時間がないと回復できない特性も、「欠点」ではなく「自分の取扱説明書」だと理解しました。
無理に飲み会に参加し続けるのではなく、「今日は一人の時間が必要だ」と自分で選択できるようになった時、むしろ人との関わりが豊かになった。
3. 今日からできるワーク
紙とペンを用意して、こう問いかけてみてください。
「僕は『HSPだから〇〇』と、何回言っているだろう?」
思いつく限り書き出してみる。
そして、それぞれを書き換えてみてください。
「HSPという特性を持つ僕は、〇〇するために△△する」
この書き換えができた時、あなたはもう「診断に縛られる人」ではなく、「診断を使いこなす人」になっています。
最後に
HSPかどうかは、たしかに一つの情報です。
でも、それはあなたの人生を決定づけるものではありません。
大切なのは、「自分が何者か」より、「どう生きるか」。
診断は理解のための道具であって、諦めるための言い訳じゃない。
あなたは、どちらを選びますか?
