■ 葬送の心聴者:仁
20年以上、葬送人として“人の最期”と“人間関係の結末”を見届けてきました。

ひとりの人間の人生の幕が静かに下りる時――
そこには、故人への感謝、何もしてあげられなかった後悔、分かり合えなかった悲しみ、伝えられなかった言葉、そして、傷つけられた恨みや怒り、身内同士の対立や駆け引き……
普段は抑えていた“素の感情”が一気にあふれ出し、時に人はそれを処理しきれなくなる。
そんな、遺族や関係者の隠れた本音や願望を拾い上げ、その希望に添う最善の形で「人生最期の場」を整える――
つまり“空気を読み、調整する力”が最も求められる仕事、それが葬儀の現場です。
そんな別れの現場を通じて見えてきたのは、人の抱える悩みの根っこにあるのは“人間関係の悩み”であるということ。
なぜなら僕らが今抱えている悩みというのは、他人がいて初めて発生する。
僕らの悩みは全て、比べる人間がいて初めて悩みとして成立するものであるから。
そして人間関係の悩みとは、突き詰めれば“自分自身との関係”の問題でもある。
ところで僕らの中には、誰もが共通して持つ願望があります。
それって、いったい何だと思います?
大人も子供も、老若男女全ての人の中にある、制御しがたい強烈な願望。
それは「他人から理解されたい」という渇望。
人から認められたい、好かれたい、気にかけてもらいたい、話を聞いてもらいたい、気持ちを分かってもらいたい、人から必要とされたい…
そんな、他人から認められたいという渇望に飢えながら人は生きている。
でも今のあなたを取り巻く人間関係を、あなたにとって理想の形にしていきたいと願うのであれば、本当に必要なのは“他人からの理解”ではなく、まずは“自分と和解すること”。
あなたはこれまで、自分をどのように扱ってきたでしょうか。
もし、自分を責めながら生きてきたなら――
他人からの批判や否定的な言葉にも、過敏に反応してしまうはずです。
「やっぱり自分はダメなんだ」と、無意識のうちにその言葉を“自分を責める材料”に変えてしまうようになる。
反対に、自分を信じ、ありのままを受け入れている人は、同じ言葉を受け取っても揺れることがない。
むしろ「自分は嫉妬されるほどの存在なんだな」と、さらに自信を深めていく。
また、自分の気持ちを無視して生きていれば、他人からも無視されたように感じるもの。
けれど、自分の想いを丁寧に扱い、理解し、信頼できるようになれば、自然と他人を信頼できるようになります。
そして、その信頼が人と人との間に“安心できるつながり”を育てていく。
人間関係の中心にあるのは、いつだって“自分との関係”。
自分をどう扱うかによって、他人との関係もそのまま変わっていきます。
実に多くの人が、自分とケンカをしています。
「こんな自分はダメだ」
「こんな自分なんて認められない」
――そんな言葉を、自分に投げつけ続けている。
けれど、それこそが人間関係の歪みの始まりです。
自分との関係がギクシャクしていれば、周りの人との関係も同じようにギクシャクする。
だからこそ、まずは“自分と和解すること”が、すべての関係を整える第一歩。
人間関係の改善とは、いわば“自分との関係の再構築”なのです。
もしもあなたの人生の幕が明日閉じるとしたなら、後悔することはありませんか?
人が人生の最期において後悔するのは
「失敗したこと」でも
「挑戦しなかったこと」でもなく、
「自分の本音から目をそらし、自分を抑えて生きたこと」。
僕らは自分の本心に耳を澄ませることで、初めて他者と真に向き合えるようになる。
20年以上、“人の最期”と“人間関係の結末”を見届けてきた僕が、葬送人の視点から「人間関係の改善」をはじめ、「自分を変える方法」「理想の生き方を実現する方法」などを様々な角度からあなたにお伝えしていきます。
何かしら、お役に立てていただければ幸いです。
葬送の心聴者、仁(Jin)より
